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2026年2月18日、国内最大級のエンジニアの祭典「Developers Summit 2026」が開催されました。その「Dev × PM Day」のセッションにて、Amplitude Analytics合同会社のソリューションエンジニア、津久井英樹氏が登壇。「プロダクトの意志をデータとAIで実装する」というテーマで、現場のメンバーがデータとAIを武器にいかに高速でプロダクト改善のサイクルを回していくべきか、最新のAIプラットフォームの可能性とともに語りました。

1. デジタルビジネスが直面する「ユーザー理解」の壁

セッションの冒頭、津久井氏は現代のプロダクトマネジメントが直面している厳しい現実に触れました。皮肉なことに、多くの企業がビジネスの主軸をデジタルへ移す中で、「ユーザーの真の姿」はかつてないほど捉えにくくなっています。
「プロダクトの成長を牽引する『原動力』が何なのか。それをデータから解き明かすことが、今やビジネスの成否を分ける境界線となっています。」
津久井氏は、Amplitudeを導入して急成長を遂げた世界的なリーディングカンパニーの事例を引きました。たとえば、フードデリバリーのDoorDashは、リピート注文を生み出すカギが「時間通りの配達」にあることをデータで特定しました。また、コラボレーションツールのAtlassianは、「チームの半数以上が週1回以上利用すること」が有料契約へ転換するマジックナンバーであることを突き止め、成長を加速させています。
これらの企業に共通しているのは、単に「数字」を眺めるのではなく、成長の転換点となる特定の「ユーザー行動」を発見し、そこにプロダクトとしての意志を明確に反映させている点です。
対して、多くの日本企業ではいまだにページビュー(PV)を追うだけの「Digital 1.0」的な分析に留まっています。これでは「なぜその結果になったか」という行動の理由が見えず、分析のたびに専門チームへSQLを依頼する「意思決定の分断」が改善スピードを著しく削いでいると、津久井氏は警鐘を鳴らしました。
プロダクトの成長を牽引する「マジックナンバー」の特定
世界中のトップ企業は、自社のプロダクトを成長させるために「何が決定的な要因(ドライバー)なのか」をデータから紐解いています。津久井氏は、Amplitude社が支援するグローバル企業の事例を挙げ、データ分析の目的を再定義しました。
- DoorDash: リピート注文を生み出すカギが「時間通りの配達」であることを特定し、リテンション向上に活用。
- Atlassian: トライアルから有料契約へ転換する決め手が「チームの半数以上が週1回利用すること」であることを数値化。
- PayPal: ユーザーを惹きつける秘訣が「初日の入金体験(Day 1 Cash)」にあることを証明し、オンボーディングを最適化。
これらに共通しているのは、単に数値を眺めるのではなく、「ビジネス成長の転換点となる特定の行動」をデータから発見し、そこにプロダクトの意志(戦略)を反映させている点です。
従来の分析と「意思決定の分断」という限界
しかし、多くの現場では依然として以下の5つの壁に直面しています。
- PV中心の分析: 「なぜその結果になったか」という行動の理由が見えづらい。
- 専門チームへの集中: 現場が数字を“受け取るだけ”になり、自律的な改善が進まない。
- デバイスの分断: Webとアプリ、オフラインが分断され、ユーザージャーニーが追いきれない。
- リアルタイム性の欠如: 日次バッチ処理が前提で、リリース直後の挙動をすぐに把握できない。
- ツールと施策の乖離: 分析ツールと実行ツールが別々で、行き来に膨大な工数がかかる。
2. Amplitudeが定義する「AIアナリティクスプラットフォーム」の全貌

こうした「分析の遅延」と「洞察の欠如」を解決するために、Amplitude社が新たに打ち出したのが「AIアナリティクスプラットフォーム」です。津久井氏は、最新の製品構造を「検知・判断・実行」の3つのレイヤーで詳しく解説しました。
① データレイヤー(検知):クロスプラットフォームの真の統合
Web、モバイルアプリ、オフラインのデータを一人のユーザー単位でつなげて分析します。従来のデータのサイロ化を解消し、数秒〜1分レベルでのリアルタイムなデータ反映を実現します。
② 判断レイヤー:定量と定性をAIで繋ぐ
Amplitudeの最大の特徴は、数値分析(定量)と行動観察(定性)のシームレスな融合にあります。
- セッションリプレイ: ユーザーがどこで迷い、どこをクリックしたか。実際の操作を再生し、UI上の課題を特定します。
- AI フィードバック: CSへの問い合わせやアプリレビューなどの非構造化データをAIが解析し、インサイトを抽出します。
③ 実行レイヤー(アクション):分析を「実装」に直結させる
分析で得たインサイトは、即座に「実行」へ移されます。 Amplitudeは「Web/機能実験(A/Bテスト)」や「ガイド&サーベイ」機能を内包しています。特定したユーザー群に対して即座に施策を打つことができ、分析から実行までのループを劇的に短縮します。
3. 国内トップ企業の実践事例:1,000人規模のデータ活用
セッションでは、Amplitude社が支援している国内最大級の導入事例として、株式会社NTTドコモ様の取り組みが紹介されました。
組織全体で「自ら問い、自ら答える」文化の構築
NTTドコモ様では、データが部門ごとに分断され、レポート作成が一部のアナリストに集中していたことが課題でした。そこでAmplitudeを導入し、会員・行動・決済データを統合した横断分析基盤を構築しました。
- 成果: 各担当者が自分でチャートを作成できるセルフサービス環境を構築した結果、現場でダッシュボードを見ながら議論する文化が定着。
- インパクト: オンボーディング・コンバージョンを8倍に改善し、獲得コストの低減にも成功しました。
4. AIエージェントが加速させる「プロアクティブな成長ループ」
セッションの後半で津久井氏が強調したのは、AIによって分析の「スピード感」が次元の違うものになるという点です。
「これまでの分析は「数百クリック / 3ヶ月」かかるのが実態でしたが、信頼できるデータ基盤があれば「47クリック / 40時間」に短縮できます。そして最新のAmplitude AIを活用すれば、「3行のプロンプト / 5分間」で学びから実行までのサイクルを回すことが可能になります。」
デモンストレーションでは、自然言語で問いかけるだけで最適なチャートが生成され、ユーザー行動の異常やチャンスをAIがプロアクティブに監視する様子が示されました。AIは専門家の仕事を奪うのではなく、誰もが専門家レベルの洞察を瞬時に得られる「高速道路」を提供し、人間が「次の戦略(意志)」を練るためにより多くの時間を使えるようにするためのパートナーなのです。
5. 終わりに:プロダクトの意志をデータに込める

セッションの締めくくりとして、津久井氏は会場のエンジニアやプロダクトマネージャーに向けて以下のメッセージを送りました。
「データがある状態」と「プロダクト改善に使える状態」には依然としてギャップがあります。そのギャップを埋めるのは、イベント中心のアナリティクスであり、職種横断で自走できるUIであり、そして問いからインサイトまでをつなぐAIエージェントです。」
「まず、1つのプロダクト、1つの主要KPIに絞って導入し、小さな成功体験を積み上げながら、組織全体の意思決定をアップデートしていきましょう。」
貴社のプロダクトやサイトの現状、課題についてお聞かせください。
本レポートをお読みいただき「プロダクトの意志をデータで証明し、次なる成長への一歩を共に踏み出したい」、そう感じられた方へ。
まずは貴社のプロダクトやサイトの現状、課題についてお聞かせください。
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