【イベントレポート】Amplitude Tokyo Meetup supported by e-Agency〜データが導いた逆転劇~ある企業のグロースストーリー


株式会社イー・エージェンシーは、デジタルプロダクト分析ツールAmplitude社との共催にて、2025年11月13日にAmplitude Tokyo Meetupの第2回目として「Amplitude Tokyo Meetup Supported by e-Agency データが導いた逆転劇~ある企業のグロースストーリー」を開催いたしました。

当日は、プロダクト分析に興味を持ち始めたばかりの方からすでにプロダクト分析に取り組まれている方まで、多くのマーケターやPMの方々にご来場いただきました。
本記事では、熱気に包まれた当日の様子と、イベントで語られた「ビジネスをV字回復させるデータの力」についてレポートします。

”集客”で終わらせない。Web解析から繋げる「プロダクト分析」の力

20251113Amplitude_Meetup1

株式会社イー・エージェンシー 竹内 良郎

みなさんのビジネスのバケツ、底に穴が開いていませんか?

最初のセッションに登壇したイー・エージェンシーの竹内は、会場にそう問いかけました。 多くの企業は「新規ユーザー獲得(集客)」に莫大な予算とリソースを投じます。広告を回し、SEOを強化し、LPを最適化する。Web解析ツールを使って「どこから何人来たか」を必死に追いますが、「Web解析(集客の可視化)と、プロダクト分析(定着の可視化)は全く別物である」と解説しました。  

サブスクリプションやSaaSといったビジネスモデルにおいて、収益の柱は「継続利用」です。穴の開いたバケツ(=離脱の多いプロダクト)にいくら水(=新規ユーザー)を注いでも、水は溜まりません。それどころか、穴を塞がずに水を注ぎ続ける行為は、現場を疲弊させるだけです。

「集客はできているのに売れない」という現象は、まさにこの「水漏れ」から目を背けた結果であり、この水漏れを塞ぐために必須となる「リテンション分析(定着率の可視化)」や、ユーザーが定着する瞬間を見つけ出す「マジックナンバー(Aha! Moment)の発見」といった手法の重要性が語られました。

データが導いた逆転劇~ある企業のグロースストーリー~

20251113Amplitude_Meetup2

松下村塾株式会社 代表取締役 CEO ウルフ松陰

セッション2では、ウルフ氏から 「データ分析で撤退寸前の会社を救った」というここでしか聞くことのできないV字回復ストーリーが披露されました。

データが見つけた「企業側の思い込み」

当時、ウルフ氏が担当していたチャット小説アプリ「テラー」はテレビCMの効果もあり、表向きの集客数字は絶好調でした。他方、獲得したユーザーのほとんどが、すぐに離脱しており、「獲得コスト(CPI)は合っているのに、LTV(顧客生涯価値)が伸びない」。典型的な「穴あきバケツ」状態でした。

ウルフ氏がAmplitudeを使ってユーザー行動を深掘りしたところ、衝撃の事実が浮かび上がりました。チームが「これが我々の強みだ」と信じ、アプリの一等地に配置していた「プロ作家による公式作品(PGC)」を、定着ユーザーはほとんど読んでいなかったのです。

では、定着ユーザーたちはサイトのなかで何をしていたのか? 彼らが夢中になっていたのは、サイトの奥深く、隅っこに追いやられていた「一般ユーザーの投稿作品(UGC)」でした。企業側が「良かれと思って」提供していた体験と、ユーザーが「本当に求めていた」体験の間には、大きな乖離があったのです。  

逆転のピボット、そしてMBOへ

「我々は間違っていた。ユーザーが求めているのはこっちだ」 データという確固たる証拠を手にしたウルフ氏は、ビジネスモデルを根底から覆し、アプリの主役をプロ作品からユーザー投稿作品へと入れ替える方向転換(ピボット)を決断しました。

しかし、改革には痛みが伴います。方向転換(ピボット)により一時的に売上が減少したことで、親会社からは「撤退」の判断が下されました。それでも「データを見れば、熱量は確実に上がっている。この事業は絶対に伸びる」、そう確信したウルフ氏は、自ら資金を調達し、事業を買収(MBO)して独立する道を選びました。  

「データ分析がなければ、間違いなく撤退を受け入れていた」。そう語るウルフ氏の言葉には、修羅場をくぐり抜けた経験者にしか出せない説得力があり、会場の皆様も、ウルフ氏のストーリーを興味深く聞いていました。

Amplitude AI Agents実践活用デモ

20251113Amplitude_Meetup4

Amplitude Analytics合同会社 パートナーセールスリード 青木 隆夫

プロダクト分析の未来

「今のウルフさんのような分析を、もし『5分』でできるとしたらどうでしょうか?」

最後のセッションでは、Amplitudeの青木氏が登壇し、分析の未来を提示しました。 これまで、複雑なユーザー行動を分析するには、仮説を立て、SQLを書き、データを抽出し、グラフ化するという膨大な工程が必要でした。1つのインサイトを得るのに数週間〜数ヶ月かかることも珍しくありません。
しかし、今回披露された新機能「Amplitude AI Agents」は、その常識を過去のものにしました。デモンストレーションでは、AIに対してチャットで「なぜカート放棄が増えているの?」「このダッシュボードの要約をして」と話しかけるだけで、AIが瞬時にデータを分析し、ボトルネックの特定から改善案の提示までを行う様子が実演されました 。  

「人間はデータ出しという『作業』から解放され、AIが出した答えを元に『どう決断するか』というクリエイティブな領域に集中する」 それが、これからのマーケターの新しい働き方なのです。

正解は「打率3割」の打者に学べ

青木氏からは、「どんなに優れたマーケターでも、打率(施策の成功率)は3割程度。つまり、7割は失敗するんです」「失敗を恐れずに打席に立ち続けること」の重要性が強調されました。

データ分析とは、失敗しないための魔法の杖ではありません。失敗をいち早く検知し、素早く次の打席に立つための「武器」です。 「完璧な正解」を探して足踏みするのではなく、Amplitudeのようなツールを使って高速に仮説検証を回し、ユーザーの反応という「真実」に触れ続けること。それこそが、ヒットを生み出す唯一の方法なのです。

あなたのプロダクトに眠る「ストーリー」を見つけましょう

約2時間のイベントを通じて強調されたのは、データ分析とは「無機質な数字の管理」ではなく、「ユーザーのストーリーへの共感」ということです。

ウルフ氏の事例が示したように、私たちが「価値がない」と思い込んでいる機能にこそ、ユーザーの熱狂が隠されているかもしれません。その「小さな熱狂」を見逃さず、信じ抜くことができるか。それがビジネスの勝敗を分けます。

本レポートでは概要をお伝えしましたが、会場で共有された具体的な分析チャートの読み解き方や、ウルフ氏が語ったより生々しい苦闘のエピソードなど、書ききれなかった「ここだけの話」が語られました。

また、セッション終了後のネットワーキングパーティーでは、参加者の皆様や登壇者がそれぞれの課題感などを共有し、終了予定時間を過ぎてもお話しする姿が見られました。あらためて、データ活用への意欲の高さや熱意が感じられた2時間になりました。

貴社のプロダクトやサイトの現状、課題についてお聞かせください。

本レポートをお読みいただき「自社のユーザー行動を深く理解したい」 「データに基づいた施策のDCAサイクルを高速で回したい」 「撤退宣告を受ける前に、データでプロダクトの可能性を証明したい」、そう感じられた方へ。

まずは貴社のプロダクトやサイトの現状、課題についてお聞かせください。
Amplitudeのデモンストレーションで、AIがあなたのプロダクトの「何を」課題だと指摘するか、一緒に分析してみませんか?

イー・エージェンシーでは、Amplitudeの導入検討から実装、分析活用の伴走支援まで、一貫したサポートを提供しています。
Amplitudeに関するお問い合わせは、以下のお問い合わせフォームよりご連絡ください。

お申し込み

サービスに関するお問い合わせ

私たちは、ビジネスの課題解決するための支援を行っております
サービスについてお気軽にご相談・お問い合わせください
サービスに関するお問い合わせ

 

この記事を書いた人
マーケティングチーム

Amplitude セールス担当チーム
Amplitudeのウェブサイト運営、記事・ブログコンテンツの企画・制作、およびウェビナー開催を一手に担うチームです。
「お客様のデータ活用を最大化する」という目標のもと、Amplitudeの最新情報や、実践的な活用ノウハウを、分かりやすくお届けできるよう努めております。皆様の業務に直結する価値ある情報を提供できるよう、日々、コンテンツの作成と情報発信に取り組んでおります。
Amplitudeが皆様にとって不可欠なツールとなるよう、常に読者の皆様の声に耳を傾けながら、共に成長させていきたいと考えております。