「最近、SEO経由の流入が伸び悩んでいる…」 「Google検索結果の上位に表示されているのに、以前のようなクリックが得られない……」というような悩みを最近よく伺うことがあります。
多くのマーケティング担当者が、このような危機感を感じているのではないでしょうか?従来の、Google検索で調べるという検索行動から、Gemini、ChatGPT、Claude、Perplexityなどの生成AIで調べる検索行動が主流になりつつあります。
このように、私たちが慣れ親しんできた「検索」の世界には、これまでとは異なる新しい検索体験の潮流が生まれています。
本記事では前後編に分け、この新しい潮流を理解し、その波を乗りこなし、生成AI時代の新しい検索最適化戦略を構築するための考え方として「AIビジビリティ」を解説します。前編では、現状の整理と、新概念である「AEO(Answer Engine Optimization)」、そしてAIによるブランドの視認性について見ていきましょう。
これまでのインターネット集客の王道は「検索」でした。ユーザーはGoogleやYahoo!の検索窓にキーワードを入力し、表示された「青いリンク」の中から目的に合ったサイトを選んでいました。
しかし、2022年末のChatGPTの登場を境に、この当たり前が崩れ始めています。
ChatGPTリリース後、2023年には米国成人の約4分の1が毎週利用していました。現在では、ウェブ閲覧セッションの10回中6回にAI生成の要約が含まれています※1。Gemini、ChatGPT、Claude、PerplexityなどのAIモデルを直接質問のために使うケースが増えています。また、従来の検索結果をクリックすることなくGoogle AI Overviewsから答えを得る人も増えています。
※1 Amplitude, Inc., "Introducing Amplitude AI Visibility: The New Way to Monitor What AI Says About You", Oct 29, 2025
これらの問いに対して、AIは複数のソースから情報を収集し、要約し、ユーザーに「答えそのもの」を提示します。
総務省の「令和7年版情報通信白書」によると、日本における生成AIの利用は、2023年度調査時の9.1%から、2024年度には26.7%と急速に拡大しています。他方、アメリカ(68.8%)、ドイツ(59.2%)、中国(81.2%)の利用率に比べると後れを取っている状況です※2。つまり、これは、日本において、今後、生成AIでの検索行動がより普及し、従来の検索サイトからの流入が減少してくる可能性が非常に高いことを示しています。
このような変化のなかで、AIの回答に自社ブランドが含まれないと、自社ブランドの存在を顧客に認知させることができません。競合がこの新たな検索領域を支配すれば、顧客が検索していることすら気づかないうちに、購買意欲の高い顧客を奪われてしまいます。
※2 総務省, 令和7年版情報通信白書, 2025年7月
Googleもこの変化に対応すべく、「AI Overview」の提供を2024年8月(日本)に開始しました。検索結果の最上部にAIによる回答が表示されることで、ユーザーはサイトに訪問することなく情報を完結させてしまいます。これが「ゼロクリック検索」(Zero-Click Search)です。最近では、ユーザーの6~7割が「ゼロクリック検索」を行っており、AIによる概要表示で満足しているという調査結果※3もあります。AIによる情報検索は、もはや新しいトレンドではなく、すでに日常的な現実となっています。
マーケティング担当にとって、これは死活問題です。これまでのSEOは「検索結果の1ページ目(あるいは1位)に入ること」がゴールでしたが、現在は「1位にいてもクリックされない」という状況が発生しているのです。
従来のSEOツールはこうした新チャネルに対応していません。マーケティング担当者はAI上での自社ブランドの存在感を測る新たな手法を必要としています。
※3 NTTドコモ モバイル社会研究所ホームページ, 【ライフスタイル】6割超がAI要約で検索完結, 2026年2月5日
SEO(検索エンジン最適化)の重要性が消えたわけではありません。しかし、SEOだけでは十分な集客が難しくなってきています。そこで今、世界中のマーケティング担当者が注目しているのが「どうしたら、AIの回答に自社ブランドが表示されるのか」ということです。
ここで、改めてSEO(検索エンジン最適化)とAEO(回答エンジン最適化)の違いを理解する必要があります。どちらも情報の露出を増やす施策ですが、その目的と手法に大きな違いがあります。
SEOはGoogleなどの検索エンジンで上位に表示させ、ユーザーを自社サイトへ誘導(クリック)することを主眼に置いています。そのため、網羅的なコンテンツ制作やドメインの信頼性が重視されます。
これに対して、AEOは、AI(Gemini、ChatGPT、Claude、Perplexityなど)や音声検索に対し、ユーザーの問いへの「直接的な回答」として選ばれることを目的とします。サイトへの訪問を介さず、検索結果画面やAIの回答内で完結させるため、簡潔な結論の提示や、AIが理解しやすい「構造化データ」の活用といった、AIに特化した情報整理が求められるのが特徴です。
つまり、SEOが「サイトへの集客」を目指すのに対し、AEOは「AIによる回答の獲得」を目指す戦略といえます。下記の表に、SEOとAEOの違いをまとめました。
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項目 |
SEO(検索エンジン最適化) |
AEO(回答エンジン最適化) |
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主な対象 |
Google等の検索アルゴリズム |
Gemini、ChatGPT等の生成AIモデル |
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重視する要素 |
キーワード、被リンク、ドメイン権威 |
エンティティ(実体)、文脈、一次情報、信頼性 |
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アウトプット |
検索順位のリスト |
AIによる対話形式の推奨・引用 |
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ユーザー体験 |
リンクを選んでクリックする |
AIとの対話の中で答えを得る |
AEO(回答エンジン最適化)とは、LLM(大規模言語モデル)やAIサーチエンジンに、自社のブランドや製品、サービスを「正しく理解」させ、ユーザーへの回答の中に「推奨・引用」されるように最適化する活動を指します。AI検索時代に勝ち残るためには、マーケティング担当者はLLMの「思考方法」を理解する必要があります。大規模言語モデル(LLM)の仕組みを深く理解することで、マーケティングチームは自社や製品がより頻繁に、より好意的に言及されるようにするための対策を講じることができます。この手法は、目的と対象の違いによって、AIO(AI最適化)、LLMO(大規模言語モデル最適化)、AEO(回答エンジン最適化)、GEO(生成エンジン最適化)に分類されます。この記事では、AIビジビリティとの文脈において、回答エンジンへの最適化を重視するため「AEO」を使用します。
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目的 |
対象 |
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AIO |
AI最適化 AI Optimization |
AI全体の最適化(下記すべてを包含する総称) |
AI検索、AIエージェント、生成AI全般 |
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LLMO |
大規模言語モデル最適化 Large Language Model Optimization |
AIの「頭脳(モデル)」に正しく理解・学習してもらうこと |
ChatGPT、Gemini、 Claude、Llamaなどのモデル自体 |
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AEO |
回答エンジン最適化 Answer Engine Optimization |
「質問に対する直接的な回答」を提供すること |
検索結果の強調スニペット、AIチャットの即答部分 |
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GEO |
生成エンジン最適化 Generative Engine Optimization |
「AIの回答生成プロセス」で引用元として選ばれること |
Google AI Overviews, Perplexity などの生成エンジン |
このように、AEOが近年急速に重要視されている背景には、ユーザーの検索行動が「複数のサイトを巡回して情報を探す」スタイルから「AIとの対話によって即座に答えを得る」スタイルへと激変しているという変化があります。
Googleの「AI Overviews」やChatGPTといった対話型AIの普及により、検索結果の最上部にはAIによる回答が直接表示されるようになりました。その結果、ユーザーがWebサイトをクリックせずに疑問を解決する「ゼロクリック検索」が主流となり、従来のSEOだけでは自社の情報がユーザーの目に触れる機会が大幅に減少しています。
この変化の中で自社ブランドの認知を維持し、顧客から選ばれ続けるためには、AIに対して自社の情報を正しく理解させ、信頼できる回答ソースとして引用されることが不可欠です。AIに推奨される存在になることは、現代のデジタルマーケティングにおける新たな信頼の指標となっており、その成否を左右するのがAEO戦略なのです。
AEOの重要性は理解できても、いざ実行しようとすると大きな壁にぶつかります。それは、「AIに自社のブランドがどう評価されているのかがわからない」という問題です。
これまでのマーケティングには、必ず「物差し」がありました。
しかし、AIチャットの中で自社ブランドがどれくらい出ているか、ポジティブに語られているか、あるいは全く無視されているか。これを把握するためには、マーケターが手動で各AIにプロンプトを打ち込み、エゴサーチをするしかありませんでした。
「ChatGPTでは推奨されるが、Claudeでは競合が推奨されている……。なぜだろう?」 「どのWebサイトの情報が元になってAIの回答が作られているのか分からない」
この「ブラックボックス」を解き明かし、AI時代の新しい物差しを提供するために生まれたのが、「Amplitude AIビジビリティ」です。
Amplitude(アンプリチュード)は、世界をリードするデジタルプロダクト分析プラットフォームです。その分析の知見をAI検索の領域に拡張したのが「Amplitude AIビジビリティ」です。このツールは、以下の3つを可視化することができます。
自社ブランドや製品が、主要なLLM(Gemini、ChatGPT、Claude、Perplexityなど)において、特定のカテゴリやプロンプトに対してどれくらいの頻度で言及されているかを数値化します。 「自分のブランドがAIにどのくらい知られているか」を一目で把握できる健康診断のような指標です。
自社だけでなく、競合他社の言及率も同時に測定します。 「特定のキーワード群において、競合A社は40%言及されているのに、自社は10%しか出てこない」といったギャップを明らかにします。これにより、どの分野でAEOを強化すべきかの優先順位が明確になります。
AIがその回答を生成する際に、どのソース(Webサイト、メディア、フォーラム等)を参考にしているかを特定します。 「AIは自社の公式サイトではなく、Redditの書き込みや特定の比較記事を引用している」といった事実が分かれば、どの媒体に対して情報を発信すべきかという戦略が立てやすくなります。
「うちのブランドは大丈夫だろうか?」と不安になった方にぜひお試しいただきたいのが、Amplitude AIビジビリティ(無料版)です。
ここでは、Amplitude AIビジビリティ(無料版)の操作方法を簡単にご紹介します。なお、Amplitude AIビジビリティ(無料版)は英語での提供となりますが、本稿では、Google Chromeブラウザの日本語翻訳機能を使用し、画面キャプチャーについても翻訳語のものを掲載しております。
まず、Amplitude AIビジビリティ(無料版)ページにアクセスします。
「会社名を入力してください」欄に、自社の会社名を入力して、「ブランドを分析する」ボタンをクリックしてください。
「AI可視性ダッシュボードを表示」ボタンをクリックしてください。
AIが複数のモデルを裏側で走らせ、分析レポートを生成します。
分析レポートの最初に表示される「概要」レポートでは、AIによる検索におけるウェブサイトのパフォーマンスに関する概要情報が表示されます。具体的には、以下の内容を確認することができます。
SEOにより最適化された自然検索結果を経由する流入が減少している今、私たちがすべきことは、自然検索での順位はしっかりとキープしながら、新しい技術がもたらした「AI検索」という新しい検索のフロントページでも、自社ブランドの存在を確立することです。
その第一歩は、「現状を知ること」。 AIというブラックボックスの中で、あなたのブランドがどのように評価されているのか。まずはAmplitude AIビジビリティ無料版)を使って、自社ブランドの「ビジビリティ(視認性)」を確認してみてください。
しかし、現状を知るだけでは勝てません。 「競合に勝つためにはどうすればいいのか?」 「AIの言及を、どうやって実際の売上や成約に繋げるのか?」
後編では、「AI推奨を売上に変える実践的なAEO戦略」と、「Amplitudeの行動分析データとの連携が生み出す真のROI」について深く掘り下げていきます。